理系大学生、特に化学系専攻の学生向けのサイトです。国立理系の現役大学院生が、実際に大学生活で必要となった知識やスキルをまとめています。
主に有機化学・有機金属化学・無機化学・高分子化学の分野における、課題や授業理解に役立つ知識の他、Excelを使った散布図の作り方など大学生活で欠かせないスキルについて解説します。

 

新着記事

ラジカル共重合する場合の成長反応

重合 高分子化学

2024/1/18

ラジカル共重合のQ-eスキーム

    ラジカル共重合について まずラジカルとは不対電子を持つ化学種のことであり、ラジカル重合とは、ポリマー末端の活性点がフリーラジカルで成長する連鎖重合で、工業的に広く利用される一般的な重合方法である。 そして共重合とは、2種類以上のモノマーを重合させる反応である。 例えばラジカル共重合で得られるSBR(スチレンーブタジエンゴム)は、強度が大きく硬いスチレンと、分子設計の自由度が高く柔らかいブタジエンを組み合わせることで使いやすい物性に調製できる。 このように様々な特徴のモノマーを組 ...

続きを読む

p-Cymeneの¹HNMRスペクトルとピークの帰属

¹HNMR

2023/4/30

¹HNMRスペクトルの実例解析②

    パラシメン(p-Cymene)の構造 パラシメン(p-Cymene)の¹HNMRスペクトルの解析を解説していく。 まず、パラシメンの構造は次のようになる。 ベンゼン環のp-位にメチル基 (-CH₃) とイソプロピル基 (-CH(CH₃)₂) が置換した構造である。 ¹HNMRはHの原子核を観測する分析法であり、構造からパラシメンのもつ水素は5種類あるとわかる。 ここで水素のカップリング反応を考える。 まず、ベンゼン環に結合した②と③のHが、ベンゼン環の上下それぞれでカップリング ...

続きを読む

芳香族ポリエーテルケトンの¹HNMRスペクトルの帰属

¹HNMR

2023/4/28

¹HNMRスペクトルの実例解析①

  芳香族ポリエーテルケトン(PEEK)の構造 芳香族ポリエーテルケトンの¹HNMRスペクトルの解析を解説していく。 芳香族ポリエーテルケトンとは結晶性の熱可塑性樹脂に属するポリマーの総称であり、「スーパーエンジニアプラスチック」の中でも特に耐熱性と耐薬品性に優れる物質だ。 芳香族ポリエーテルケトンの構造は次のようになる。 ベンゼン環をエーテル基とケトン基で結合した剛直な構造である。 水素をわかりやすくあらわすとこのようになる。   ベンゼン環の上下に2個ずつある水素に加え、2個のCH ...

続きを読む

LangmuirとFreundlichプロットの直線性

吸着等温式

2023/3/2

Langmuir・Freundlichの吸着等温式

  こちらもCHECK   吸着等温式とは ポイント  一定の吸着温度における吸着質の圧力(または濃度)と吸着量との関係を吸着等温線という。  吸着等温線を数式に表したものを吸着等温式という。   典型的な吸着等温式にLangmuirの吸着等温式とFreundlichの吸着等温式があり、これらについて説明する。   Langmuirの吸着等温式 Langmuirの吸着等温式は単分子層吸着に対する吸着等温式であり、次の3つを前提としている。 ①吸着質は吸着媒表面の特定 ...

続きを読む

Excelを用いて描いた散布図

Excel 実験

2023/8/4

【見やすい散布図を作る】Excelを用いた実験データのグラフ化

  こちらもCHECK   実験データのグラフ化 実験データをまとめるときに用いるグラフをExcelで描く方法を解説していく。 まず最も重要なことだが、   ポイント 折れ線グラフではなく散布図を使う。   ビジネス用などの一般的なグラフでは、製品名などの「文字列」と金額などの「数値」をデータとして扱うことが多く、こちらは折れ線グラフが適している。 一方で、実験データでは「数値」と「数値」の関係を表すことがほとんどで、こちらは散布図を使う方がよい。   デ ...

続きを読む

おすすめ記事