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吸着等温式とは
ポイント
一定の吸着温度における吸着質の圧力(または濃度)と吸着量との関係を吸着等温線という。
吸着等温線を数式に表したものを吸着等温式という。
典型的な吸着等温式にLangmuirの吸着等温式とFreundlichの吸着等温式があり、これらについて説明する。
Langmuirの吸着等温式
Langmuirの吸着等温式は単分子層吸着に対する吸着等温式であり、次の3つを前提としている。
①吸着質は吸着媒表面の特定の場所(吸着サイト)に吸着する
②吸着サイトに吸着質は1つしか吸着できない
③吸着分子同士でエネルギー的な相互作用がない
飽和吸着量をNm、吸着量をN、圧力をpとして次のように表せられる。Kは吸着の強さを表す吸着平衡定数である。
※N=x/m (x:溶質の質量, m:吸着媒の質量)
ポイント
$$N=\frac{N_{m}Kp}{1+Kp}$$
このとき表面にNm個の吸着サイトがあり、そのうちN個の吸着サイトに分子が吸着しているとして、その割合を被覆率(θ)といい、次のように表せられる。
$$θ=\frac{N}{N_{m}}=\frac{Kp}{1+Kp}$$
Henry型
p<<<1/K のとき、吸着量Nは吸着平衡圧pに比例し、N=NmKp となる。
この吸着等温線をHenry型といい、このときの比例定数KをHenry定数という。
BET吸着等温式
Langmuirの吸着等温式の理論を多分子層吸着に拡張して導いた式として、BET吸着等温式がある。
Cを定数、xを相対圧(吸着圧pと飽和蒸気圧p⁰との比(x=p/p⁰))として、次のように表される。
$$N=\frac{CN_{m}x}{(1-x)(1-x+Cx)}$$
吸着量がNm前後となる0.05<x<0.3の範囲で実験値をよく表し、試料の表面積の算定によく用いられる。
化学結合による化学吸着では、単分子層以下の層数で吸着する(Langmuirを適用)ことが多いが、分子間相互作用で吸着する物理吸着では、多分子層吸着(BETを適用)であることが多い。
Freundlichの吸着等温式
吸着の初期の過程では吸着量Nは圧力p(または濃度)に比例し、一方で、圧力pが十分大きくなった場合には単分子吸着膜が完成され、吸着量Nは一定となる。
Freundlichの吸着等温式はこの2つの中間領域で適用される。
Freundlichの吸着等温式は次のように表せられる。
ポイント
$$N=KP^\frac{1}{n}(n>1)$$
ここでk、nは圧力pによらない定数であり、kは吸着相互作用に関するパラメータ、nは吸着相互強さに関するパラメータである。
吸着等温式の適用
実験で得た圧力pと吸着量Nの関係がLangmuir吸着等温式とFreundlich吸着等温式のどちらの式に適応しているかを、プロットの直線性から判断する。
Langmuirの式を変形すると次のようになる。
ポイント
$$\frac{P}{N}=P\frac{1}{N_{m}}+\frac{1}{K}・\frac{1}{N_{m}}$$
p/Nをpに対してプロットして直線関係が得られれば、吸着等温線がLangmuirの吸着等温式で表せられることになる。
このとき得られる勾配$(\frac{1}{N_{m}})$と切片$(\frac{1}{K}・\frac{1}{N_{m}})$から単分子吸着量Nmと吸着平衡定数Kが求められる。
Freundlichの式を同様に変形すると次のようになる。
ポイント
$$ln(N)=\frac{1}{n}・ln(p)+ln(k)$$
ln(N)をln (p)をに対してプロットして直線関係が得られれば、吸着等温線がFreundlichの吸着等温式で表せられることになる。
このとき得られる勾配と切片からそれぞれ1/nとln kがわかる。
また、BET吸着等温式を同様に変形すると次のようになる。
$$\frac{x}{N(1-x)}=\frac{(C-1)}{CN_{m}}+\frac{1}{CN_{m}}$$
例えば、実験で得られたあるデータをLangmuir吸着等温式とFreundlich吸着等温式の直線式に則ってプロットしてみると、次のようになった。
2つの直線プロットについて、Excelでxとyの相関係数を求めると、Langmuirでは0.979、Freundlichでは0.999であった。
相関係数が1に近いほど直線関係であるので、この実験のデータにおいて、吸着等温線はFreundlichの吸着等温式で表す方が適当とわかる。
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